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魅力化フォーラムを開催しました。後編(令和6年度 岩手県立高等学校魅力化フォーラム)


◇魅力化フォーラムを開催しました。[後編]

前回、お伝えした魅力化フォーラムについて、後半の様子をお伝えします。前半の様子は以下のリンクからどうぞ。

◇事務局説明

以下について事務局から各県立高校に説明がありました。
・地域等関係機関との協働体制の構築について
・「高校魅力化評価システム」に係るアンケート調査の実施について
・「いわて高校魅力化」PRアワードについて
・「いわて高校魅力化」研修会について
・いわて留学リーフレットについて
・「いわて!わんこ広報室」について(大迫高校の取組紹介)

令和5年度の「いわて高校魅力化」PRアワードの記事はこちらから

「いわて!わんこ広報室」のホームページはこちらから

◇事例紹介及びパネルディスカッション

「魅力化来し方、行く末」というテーマで県内3校の校長をパネリストにお迎えし、各校の好事例を紹介いただきながら、参加者の皆様と共に岩手の高校魅力化について意見を交わしました。

パネリスト
 福岡高等学校  校長 佐々木 伸 良 氏
 千厩高等学校  校長 熊 谷 道 仁 氏
 西和賀高等学校 校長 助 川 剛 栄 氏
ファシリテーター
 県高校魅力化プロデューサー 菅 野 祐 太 氏

福岡高等学校 地域と一体になって生徒の自走を支援する学校

福岡高等学校 校長 佐々木伸良 氏

 創立124年の伝統校であり県北地区の中核校としての役割を担う福岡高校ですが、型にとらわれず、生徒の自走を支援する体制が整っています。生徒の校外、県外、海外での活動を積極的に支援し、生徒の経験が地域の財産となり、地域に還元される好循環を生んでいると感じています。
 高校魅力化のポイントは外部の協力、外部との協働。地域と連携しながら先生方も生徒と共に探究活動を楽しんでいます。そんな生徒・先生・地域が一体となった「チーム福陵」としての意識が醸成されているのが福岡高校の魅力の一つであると思います。このような取組が令和6年度入試において国公立大学への進学占有率が60%を超える原動力となりました。
 現状維持は停滞につながります。新たな取組として、「魅力化プロジェクトチーム」を立ち上げ、これまでの取組を検証し、生徒主体の取組を尊重しながら、特色化・魅力化を推進しています。福岡高校の可能性への挑戦は、「新しい世界」へ繋がると信じています。

千厩高等学校 「居心地がよく、ちょうどいい学校」という魅力

千厩高等学校 校長 熊谷道仁 氏

 「居心地がよい学校」「ちょうどいい学校」。生徒、同窓生、保護者、地域の方々等、多くの方々がこの言葉を気に入っています。この言葉から本校は生徒の満足度が高いことが伺えます。
 学校の魅力とは、「生徒も大人も、行きたくなる学校」ととらえることができます。本校では、生徒も大人も居心地のよい環境を創出するために、先生も生徒もみんなで、フェア精神とユーモアを大切にしています。
 本校の数ある魅力の中に、「すべての進路を実現できること」「生徒と先生の距離が近いこと」が挙げられます(生徒の声)。きめ細かな関わりは千厩高校の魅力を作り出しています。そして、魅力化の根幹として「よき授業」が求められます。今後さらに学校全体として授業力の向上を進めていきます。先生の授業力は、高校の魅力化につながっていくでしょう。
 本校の「総合的な探究の時間」は、個人探究活動を取り入れているのが特徴です。後期には地域で活躍する大人に入ってもらうことになっています。
 また、これまでに培われた、生産技術科・産業技術科と産業界とのつながりを大切にし、地域との連携を深めながら探究活動を進めています。
 校長はじめ先生方が積極的に町に出て、地域の方々との交流を深めることが大切です。町に出ましょう!学校を拠点にあちこちで人と人がつながれば、蜘蛛の巣状で人のネットワークができあがります。そのような活動が学校と地域との強固なつながりを生み、さらに地域から愛される学校になっていくでしょう。

西和賀高等学校 少人数で一人ひとりを伸ばせる教育環境

西和賀高等学校 校長 助川剛栄 氏

「魅力化」を考える時、情報発信することと同じくらい、発信した内容をどう受け止めてくれているか考えることを大事にしています。
 西和賀高校は、少人数教育で一人ひとりを伸ばせる教育環境が整っています。生活支援の面で言えば、まず通学支援。高校生は町内のバスを無料で利用できます。また、昼食は、通称「レストランテ」というおかず支援もあります。寮のお風呂は温泉です。町からの支援、協力のもとで豊かな感性を育むことができる環境が創り出されています。
 「変わりゆく時代に学びぬく力を」をコンセプトに、一体感のある地域協働を魅力としています。最近では本校のnoteを見た企業からのお声がけもあり、そのつながりがさらに大きな繋がりに広がっています。
 「選ばれる学校」であるために学校としてのスタンスを明確にして、在校生にも、中学生にも、地域にとっても魅力ある環境づくりを「魅力化」と捉え取り組んでいます。

◇ディスカッションでの主な発言

・日々の「授業」は学校の魅力になるという言葉が響いた。まずは魅力化に向けて授業力向上に取り組みたい。

・生徒も、先生も、地域も探究活動を楽しめる雰囲気づくりが大切。そういった環境がその学校の魅力化につながるのでは。

・魅力化への取組が学校、生徒、先生達の負担にならないように工夫する必要がある。

・魅力化への取組が評価され、注目が集まったことは嬉しいが、定員以上の入学希望者が集まることへのジレンマがある。

・生徒が自走できるように学校は伴走する。地域課題を探究する中で生徒たちの中に郷土愛が芽生え、深まることを期待している。

・「魅力化」とは何かと考えることが私たち教員の探究でもある。

・各校それぞれが魅力を打ち出しているが、どの学校も同じような取組になってしまっている現状。特色を出していくことがこれから求められると思う。

・探究活動を横断的に結びつけることで特色が出るのではないか。探究がフォーマット化されると魅力として薄れてくると感じている。

・各校の取組に地域の期待や課題、時代というスパイスを加えることで魅力は出てくるのではないかと感じている。そのためにも教員は日々アンテナ高く情報を収集し、良い授業につなげることが大事であると考える。

◇参加者の感想

3人の校長先生方が、自分の個性を発揮しながら魅力的な学校づくりのためにリーダーシップを発揮されていることに大変感動いたしました。魅力化の方法は学校ごとに違うと思いますが、教員が熱を持って取り組むことが必要だということを、改めて実感しました。

「行きたくなる学校」をつくるには、まずは私たち教員が当事者意識を持つことが大事だと再確認できた。魅力ある学校で育った生徒が、社会や地域に貢献するとう好循環を生み出していきたい。

参加者から質疑も

地域共創のためには、その地域をよく知ること。そして人脈づくりが大切だということを改めて感じました。地域と学校との役割分担が重要であり、できないこととできることの区分け等、お互いの駆け引きも行いつつ、連携を強めていく活動を時間をかけて行い構築することが大切だと思いました。

魅力化は何をすればよいのか難しく考えて行動するよりも、地域社会と話しあいながら進めていくことが大切だと感じました。

全員で高校魅力化の行く末を議論しました


岩手の高校魅力化をテーマに、事例を挙げてもらいながら様々な視点で議論できた機会となりました。