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第2回「いわて高校魅力化」研修会

◆「高校魅力化」の視点

岩手県教育委員会では、令和4年度より全県立高校を対象として実施している「高校魅力化」において、取組の視点の一つに「生徒にとっての魅力化」を掲げており、これは、「多様な教育資源・フィールドを活用した魅力ある教育活動をとおして、生徒が資質・能力を高めながら、豊かに成長していくこと」を目指しています。

◆「生徒の学び」「教員・関係者の学び」

令和5年度は、その視点に基づいた取組として「いわて高校魅力化」研修会を実施することとし、県内6地区において、「生徒の学び」の場や「教員・関係者の学び」の場を設け、各地区の拠点校を会場として実施します。

◆研修会の目的

生徒または教員・関係者が参集し、探究活動等の優良事例や知見の共有を図り、対話や協働をとおして学びを深めることにより、生徒の資質・能力及び教員・関係者の実践力の向上を目指すものです。

◆第2回「いわて高校魅力化」研修会

第2回研修会は、盛岡・花巻【A】地区において、盛岡北高校を拠点校とし、教員・関係者の実践力向上を目指して開催しました。

◆参加校

今回は、盛岡・花巻【A】地区の11校
盛岡第一、盛岡第二、盛岡第三、盛岡第四、盛岡北、盛岡南、不来方、盛岡工業(全日制)、盛岡商業、花巻北、花巻南
に加えて、他地区の高校や県内私立高校、県外の高校からの参加も頂きました。

◆研修の実践

「総合的な探究の時間」の手法を活用した、盛岡北高3年生の「地理探究」の授業を見学しました。
授業の初めに、先生から発問されたキーワードを、生徒は2,3人のグループの中で説明します。

既習事項のキーワードが先生からテンポよく出されます。

◆USJはなぜあの場所にあるのか?
修学旅行で訪れたUSJや、中学校の修学旅行で訪れるはずだった東京ディズニーランド、ロンドンのドックランズ再開発を題材に導入し、ウォーターフロント開発へ授業を展開させます。

Google Earthで修学旅行の思い出がよみがえります。
先生の語り口で、大阪、東京、ロンドンを実際に旅行しているかのような気持ちになります。

◆ロンドン市長、メキシコシティ市長に立候補するとしたら?
ロンドン市長、メキシコシティ市長に立候補し、これまで都市が作られてきた経緯や現在の都市の課題を有権者に説明するという想定で取組を進めます。

まずは、教科書や資料集で必要な情報を調べます。
書き込めるボードなどを駆使して、当日見学している先生・関係者の方にも説明します。
説明を聴く側は、有権者として立候補者に投票するか否かという観点で説明内容を評価します。

◆講義・ワークショップ
関西学院高等部 前田秀樹 教諭を講師に、「『対話型論証モデル』の活用と、その効果について」をテーマに、講義とワークショップが行われました。

やわらかい口調で分かりやすく、興味深い講義をする前田先生

前田秀樹先生は、探究的な学びが求められる中で、論理的思考や批判的思考を育成する手法として「対話型論証モデル」の活用を提唱し、生徒に深い学びをもたらす授業実践を展開しています。 

◆岩手県は「ワーケーション」を導入するべきだろうか?
愛知県で導入された「ワーケーション」を岩手県でも導入するべきかという問いに対して、「導入するべき」と「導入するべきではない」両方の視点で、「事実・データ」をもとに「論拠・理由づけ」をして、最終的にどちらが良いかをグループごとに「主張」する三角ロジックで議論します。「地理探究」の授業見学が参考になる内容となりました。

「事実・データ」「論拠・理由づけ」「主張」の三角ロジック
まずは、事実・データの確認をします。
様々な立場から意見を出し合い、「結論・提言」を作り上げます。

◆「総合的な探究の時間」
1,2学年の「総合的な探究の時間」での、課題研究の中間発表会を見学しました。1学年はグループ、2学年は個人でテーマを設定し、研究成果を発表します。前田先生の講義にあった、対話型論証モデルに則り、三角ロジックで発表資料は構成されていました。

研究したデータをポスターにまとめ発表します。
発表を聴いた生徒は、疑問や意見を付箋に書いて発表者に提出します。

課題研究は、今回付箋に書かれた意見などをもとに、調査・研究を深め、2月に本発表に臨みます。全ての発表に対して、必ず生徒一人ひとりが付箋に疑問や意見を書き、発表者に提出するという形態のため、どのクラスも生徒全員が興味・関心を持って発表会に参加する姿勢が見られました。この疑問や意見を伝える取組は、他の講演会などでも成果を上げ、盛岡北高生の講演を聴く姿勢は、多くの講師から好評だそうです。

◆参加者の感想・意見
参加者から様々な感想、意見をいただきました。今後実施する予定の研修会に生かしていきたいと思います。
盛岡北高校の質の高い探究活動に刺激を受けました。専門高校の学びを踏まえた探究をしっかり行う必要があると感じました。
他の高校の総合的な探究の時間の取組を見学させていただくことは、大変刺激になりました。いくつかの要素を自校の総探でも導入し、今後に生かしたいです。
・他地区からの参加でしたが、自分達の地区で研修会を行う際の参考になりました。
地理探究の授業がとても素晴らしかったです。他教科ですが、見せていただき勉強になりました。

◆生徒が学びを楽しいと感じる、先生方が楽しく授業する
県教育委員会では、生徒が学びを楽しいと感じられるように、そのためには、先生方が楽しく授業をできるように、そのような環境を創っていきたいと考えています。
生徒も教員・関係者も楽しく学び、魅力ある学校を創っていきましょう。

タイトルの写真は「©岩手県観光協会」です。


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