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魅力化チームによる学校訪問①

岩手県立高校では現在、地域の関係者と連携・協働してスクール・ポリシーの策定に取り組んでいます。そこには、各学校が自校の生徒に身に付けてもらいたい資質・能力が記載されることとなります。
【いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業】では、スクール・ポリシーに基づいて、総合的な探究の時間を中心とした授業等の活動に取り組み、生徒の成長を促そうという狙いがあります。
岩手県教育委員会では「探究共創チーム」を組み、各校を訪問し、現状の成果や課題を共有し、各校の探究的な学びの充実やスクール・ポリシーの実現を支援してまいります。

ここでは、訪問の際、お聞きした学校の様子や生徒の活動状況等について紹介いたします。

大迫(おおはさま)高校 (5月25日(水))

<一人ひとりが主役になれる学校 おおはさま>

総合的な探究の時間を活用して取り組む「アクティベート・プロジェクト」では、ぶどう販路拡大サポート班、神楽探究班など6班に分かれて探究活動を進めます。
特にも、大迫町の特産品である「ぶどう」に関しては全校共通の活動として、ぶどうの「誘引作業」や「収穫作業」を行う予定です。

<大迫高校から見上げる高台に建つ研究所>

この日の、「ぶどう販路拡大サポート班」は花巻市葡萄が丘農業研究所を訪問し、大迫町に葡萄栽培を導入した国分謙吉元岩手県知事の業績を辿り、その後、圃場の見学を行いました。

また、大迫地区コミュニティ振興会と協働する「ドローン・プロジェクト」や、「プログラミング教室」、大迫高校生によるプログラミング出前授業である「迫プロ in 大迫小」など Society 5.0 社会を生きる児童生徒への支援も行っています。

大迫高校では、ぶどう(第1次産業関連)と、ドローン・プログラミング(Society 5.0 関連)という異なる分野での学びについて、生徒に身に付けてもらいたい資質・能力の一つとして共通して掲げている「段取り力」を養うべく、探究的な学びを展開しています。

平舘(たいらだて)高校 (6月1日(水))

<小さな学校で、大きく伸びる>

総合的な探究の時間を活用して取り組む「八幡平探究」(略して「ハチタン」)では、1学年「基礎」、2学年「発展」、3学年「実践」とし、年次進行で探究を深める設計になっています。
ドラゴン・アイやアスピーテラインなどの観光地、マッシュルーム、寒締めほうれん草などの食材、漆器、地熱エネルギーなど、豊富な地域資源の活用について、各自がテーマを設定して3年かけて探究を実践しています。

また、校章の由来ともなっている紫草(ムラサキ)については、全校挙げて取り組んでいます。【ムラサキ:ムラサキ科の多年草、根が紫色の染料として利用されます。】

5月 2年生による植栽地の除草
6月 1年生によるムラサキの植栽
7月~11月
   家庭クラブによる紫薫枕の製作・販売(紫薫祭(文化祭))
   家庭クラブによる紫根染体験教室(小学生・一般)の事前準備と開催
   家政科学科によるムラサキ根の収穫
   家庭クラブ対象の外部講師による紫根染学習会
12月~2月
   家庭クラブによる紫根染専門的作業(媒染・染色)・コサージュ作り
2月 3年生への紫根染コサージュ贈呈式
3月 卒業生、紫根染コサージュを胸に卒業

1年を通してムラサキに親しみ、地域の貴重な資源を守り・継承しています。

<紫草 平舘高校から昭和天皇への献上も行われました>

令和2年度に、家政科学科 と特定非営利活動法人そよかぜの家が共同開発した、「溶岩パン」を紹介していただきました。表面は溶岩を模し、中身のジャムでマグマを表現する。地域資源を上手に商品に結び付けています。

<岩手山焼走り溶岩流をイメージ>

平舘高校では、ハチタンの取組、紫草との関わり、溶岩パンに代表される地域資源の活用方法など、平高生が地域への誇りや愛着を持ち、将来の地域を担う存在になってもらいたいと、探究的な学びを展開しています。平舘高校の魅力化の取組は、平高生が魅力ある人間に成長する取組でもあります。

伊保内(いぼない)高校 (6月1日(水))

<明朗・創造・努力>

生徒全員が社員である「伊高むらおこし会社」では、総合的な探究の時間において、地域資源を活用したビジネスプランの設計・推進や、地域の方々との協働による地域課題解決に向けた取組を通して九戸村の活性化を目指しています。
学年混合でチームを組織し、商品開発、映像制作、ゲーム制作の計6チームが探究的な活動に取り組みます。

<地域資源を活用したゲームの制作に挑戦>

この日の、「ゲーム制作チーム」は、オンラインで外部講師から説明をいただきながら、理解を深め、構想を練っていました。

また、昨年度開発した商品8種類については、ポスターセッションの際に作成したポスターを通して、御説明をいただきました。

<穏やかな甘さの甘茶ティラミス>

九戸村特産の甘茶を原料の一部として作ったティラミス。「甘茶の甘みを活かした洋菓子を作りたい」、そのような高校生の要望から生まれた一品(逸品)です。

伊保内高校の「伊高むらおこし会社」の活動では、活発な議論が交わされる(協働)チームもあれば、各々が構想を練る(個の活動)チームもあり、各チームの特徴が見られました。今後の活動には、一つのチーム内で【協働の時間】もあれば、【個の活動の時間】もあり、さらには【振り返りの時間】も設けるなど、探究の充実・発展の可能性が感じられました。

今回、訪問した3校はいずれも小規模校であり、地域の関係者が「総合的な探究の時間」等を通して教育活動に関わり、地域関係者と教職員が一体となって、生徒一人ひとりの学び・成長に伴走しています。


タイトルの写真は「©岩手県観光協会」です。

「いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業」は岩手県企業局電気事業の収益の一部が活用されています。


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